著者:石川拓也 , あとがき・柴田元幸 / 発行:合同会社 風 / A4判(297mm×210mm×19mm)/ 184P / ソフトカバー(ブックジャケットなし) / テキスト:日・英語 / 2023年発行 限定1,000部 Edition No入り
この通りを過ぎ行く人間たちが、この窓を通して、それぞれの人生の小さな一瞬、ほんのひとカケラを、私のカメラの前に披露していく。写真に収める以前から、長方形に切り取られたその光景は、一種の舞台演出のようでもある。この窓によって外と内との境目が存在することで、路上が舞台のように、店内が観客席のようにも感じられる──(「Photographer's Note」より)
ニューヨーク・グリニッジビレッジの街角に佇むインド人のラオさんが営むRao’s Newsstand。本書は写真家の石川拓也が1996年から2004年の8年間をこのニューススタンドの内側でカメラを手にし、NYのストリートを撮り続けた写真集。窓(のようなもの)の外には店に訪れる人たちはもちろんのこと、通りを歩く人、天候や季節とともに移ろう街の表情や息遣いが克明に記されていて、一本のドキュメンタリー映画を観ているかのよう。それにはパラパラと頁を捲るのではなく、写真一枚一枚をゆっくりと時間をかけて丁寧に見るのがおすすめ。巻末に、ポール・オースターやスティーブン・ミルハウザーなど現代アメリカ文学の名訳で知られる翻訳家の柴田元幸による「解説・のようなもの」と題されたあとがきを収載。
*石川拓也(いしかわ・たくや)
1974年生。95年よりアジア・アフリカ・ヨーロッパを旅し、96年11月よりアメリカ・ニューヨーク在住。2001年911同時多発テロを現地で体験し2002年帰国。以来、東京在住。写真家として活動。雑誌・映画・広告の分野で様々な撮影を行う。2016年8月より、東京から高知県に拠点を移す。現在、高知県土佐町在住。土佐町の情報発信メディア「とさちょうものがたり」編集長を務める。