著者:クレイグ・モド , 訳者:今井栄一 / 発行:BOOKNERD / B6判(182mm × 128mm) / 160P / ソフトカバー(仮フランス装) / 2024年 11月発行
東京から京都を結ぶ、全長一千キロの旧中山道を徒歩で歩いた。
東海道を歩いた。熊野古道を、伊勢路を、歩いた。いつも一人で。
郊外の寂れた町々、農村、パチンコ・ロード、そして喫茶店と人びととの会話。失われゆく日本の姿を写真とテキスト、そしてたくさんのコーヒーとピザ・トーストとともに文化考現学的視点で捉えた、まったくあたらしいロード・エッセイ。
すべての長距離ウォークとは、結局のところ、世の中のおかしなことや馬鹿げた政治世界への抗議運動である。道を歩いているとき人は、目の前に広がるありのままの世界と対峙することになる。そこには抽象的なものなどひとつもない。注意を怠らずにいれば、一マイル、一マイルを身体で感じられるし、自分の目の前に「社会の姿」が立ち上がってくる。
喫茶店から喫茶店へと足を運び、アメリカンを飲み、ピザトーストを食べ、自分の中にこの喫茶店巡りの歌が、こだまのように響いているような気がする。それがなんの歌かはわからない。どれくらい歌が続くのかも不明だ。でも、この歌の響きと、喫茶店の存在そのものが、僕の気持ちをつなぎとめていた──(本文より)
*Craig Mod(クレイグ・モド)
作家、写真家、歩いて旅をする人。
1980年、アメリカ・コネチカット州生まれ。2000年より日本在住。
著書に『Things Become Other Things』(2023年)、『Kissa by Kissa
日本の歩き方』(2020年)、『Koya Bound 熊野古道の8日間』(2016年)、
『僕らの時代の本』(2015年)、『Art Space Tokyo』(2010年)など。『The New York Times』『Eater』『The Atlantic』『The New Yorker』『WIRED (米国版と日本版)』などに寄稿・執筆。