著者:友田とん / 発行:代わりに読む人 / 新書判(182mm×103mm) / 144P / ソフトカバー / 2024年 3月発行/ 購入特典:ミニエッセイ付き
「これは?」
「お玉です!」
それはわかる。しかし、今なぜここでお玉なのか。
「このお玉がね、随分前から家の台所に仕舞ってありましてね、いったいこれはなんだろうな、なんだろうなと思っていたんです」(本文より)
コロナ渦中の町を歩き、近所で見かけた看板の言葉をきっかけに本当の言葉探しをはじめた「私」は、町を歩き、弘法大師と高野山から、『オズの魔法使い』、松任谷由実のドキュメンタリー番組、『西遊記』など何かを求める旅の物語に思いを馳せるうちに、半導体エンジニアの職へと導かれた出会いの記憶へと至って……。
町を歩き、土地を訪ね、過去の出来事や読んだ小説の断片を芋づる式に思い出していくことで、予想もしなかったところへとたどり着いてしまう──「パリのガイドブックで東京の町を闊歩する」シリーズ第1期完結編。著者が2020年末から2023年夏までの間におよそ1年に1章ずつ書いたエッセイをまとめたもので、ありふれた日常を冒険に変える奔放な思考の脱線 を楽しめる一冊です。当店もチラリと登場します。
〈目次〉
第1章 半径1km圏内の言葉
第2章 弘法大師のご利益か
第3章 繰り返しの効能
第4章 先人は遅れてくる
*友田とん(ともだ・とん) 作家・編集者。ひとり出版社・代わりに読む人代表。著書に『ナンセンスな問い』、『「百年の孤独」を代わりに読む』ほか。文芸雑誌『代わりに読む人』編集発行人。柏書房のWEBマガジンにて「地下鉄にも雨は降る」を連載中。敬愛する作家はガルシア=マルケスと後藤明生。