著者:ペニー・ダベンポート , 執筆:オスカー・ギルバート(OTP Copenhagenディレクター) , デザイン:若林亜希子 / 出版社:torch press / B5変型判(257mm×182mm) / 96P / ソフトカバー / テキスト:日・英語 / 2023年12月発行
英国のアーティスト、ペニー・ダベンポートの近年のペインティングとドローイングに焦点を当てて構成した作品集。
彼女は、擬人化した動物や白昼夢のような風景を描くことで、身体が経験する心理的なニュアンスや人間関係の複雑さを探求しています。作品に登場する柔らかく垂れた耳や丸い鼻を持つ毛に覆われた生き物たちは明らかに非人間的ですが、人間の特徴も備えています。二本足で立ち、しばしば手を取り合って集まり、共感と理解の感情を示唆するような目でこちらを見つめています。邪気さや穏やかさが感じられる生き物たちの姿には、不安や寂しさ、居心地の悪さといった感覚も吹き込まれており、一見して受け取れる「かわいらしさ」の印象を時として一変させます。豊かな人間の心の機微が詰まった彼女の作品は、子供時代の半ば記憶されたイメージや不完全な物語の一コマ一コマのようでもあり、人間の心の奥に秘している何かについて語りかけてきます。
*Penny Davenport(ペニー・ダベンポート)
1979年、英国・インヴァネス生まれ。リバプールを拠点に活動するビジュアル・アーティスト。2002年にリバプール・ジョン・ムーア大学で学士号を取得。近年の展覧会に「Shallow Depths」(OTP Copenhagen、コペンハーゲン、2022年)、「The Look of a Look Thatʼs Looking」(Harkawik、ニューヨーク、2022年)、「Andante Remix」 (Ellen Gronemeyer、
Catherine Biocca、Dorota Jurczakとの展示、Linseed Projects、上海、2021年)、「Murmurings」(OTP Copenhagen、コペンハーゲン、
2021年)、「Postcards」(Galleri Magnus Karlsson、ストックホルム、2021年)、「Silent Ancestors」(Fortnight Institute、ニューヨー
ク、2019年)などがある。