著者:伊藤 紺 , 装丁:脇田あすか / 出版社:ナナロク社 / B6変型判 / 120P / ソフトカバー / 2023年12月発行
2023年はわたしにとって、
もっとも短歌と向き合う年になりました。
歌のひとつひとつに今までなかった発光を感じ、
これが、自分の光なんだと気付きました。
この本を書けたこと、一生誇りに思う。
わたしの最高傑作です。
伊藤 紺
『肌に流れる透明な気持ち』や『満ちる腕』(短歌研究社刊)で一躍名を馳せた伊藤紺さんの第3歌集。
収録歌102首の半分以上がどこにも発表されていない新しい歌。
【収録歌より7首】
夏が来る たまに忘れそうになる わたしがすごくやさしいことを
駅まではいつもぴったり8分であなたに会わなくなってから2年
この人じゃないけどべつにどの人でもないような気がしている朝だ
さみしくはないけど一人暮らしのこんなにも小さな燃えるゴミ
海を見た日は胸に海が残ること ふつうに人を信じてること
その曲が始まるとみんな喜ぶというよりすこし美しくなる
僕らいっせいに喜び合って生きものは愚かなほうがきれいと思う
*伊藤紺(いとう・こん)
1993年生まれ。歌人。2019年『肌に流れる透明な気持ち』、20年『満ちる腕』を私家版で刊行する。22年両作を短歌研究社より新装版として同時刊行。23年脇田あすか、穂村弘、坂巻弓華との展示「ことばとえの4人」(OFS GALLERY)ほか、NEWoMan新宿ショッピングエリアでのコラボ特別展示「気づく」など。