




著者:片岡千歳 / 出版社:夏葉社 / 四六変型判(190mm×134mm×24mm) / 320P / ソフトカバー・仮フランス装(函入) / 2023年10月発行
詩を愛する片岡夫婦が高知市内に小さな古書店を開いたのが1963年のこと。屋号は「タンポポ書店」という。店にはふたりが好きな詩集も並んでいたが、町の人のニーズにあわせて漫画や雑本が多く並び、入り口には 50 円均一の棚もあったそうだ。いわゆるふつうの町の古本屋として、高知の人々に親しまれたお店だったが、3人の子どもを養うため、夫は長距離トラックに乗り、妻は店舗だけでなく、催事場やスーパーでも古本を売るなどして、お店の外にも販路を拡大していく。1992年に夫が亡くなった後は、妻の千歳さんがひとりで「タンポポ書店」を続けた。
本書はお店を閉じた 2004 年に片岡千歳さんが自費出版した随筆集の復刊。南国の小さな古書店を舞台とした、日々の生活に根ざしたあたたかみのある文章は、手にした者の心を解きほぐすかのよう。現在ではなかなか見られなくなった「貼り箱」をつかった仕様にも注目に値する一冊です。